流産手術の流れ

すべての妊娠が順調に経過するわけではありません。妊娠初期に流産してしまう頻度は10~15%とされています。妊娠に伴う組織が子宮内に存在すると、出血が長引いたり、突然の腹痛や多量の出血が始まる可能性があり、流産手術によって子宮内の妊娠に伴う組織を排出させたほうがよい場合があります。また、排出された組織を病理検査に提出することで「通常の流産」か、胞状(ほうじょう)奇(き)胎(たい)などの「追加治療を要する流産」かの診断も可能になります。

流産の診断時

  1. 超音波検査で、胎児の発育が停止している場合、稽留流産と診断します。
  2. クラミジア・淋菌検査の希望があれば子宮頚管から検体採取を行います。(クラミジアや淋菌などの感染が子宮内にあると、手術をすることで炎症が悪化し、術後に発熱や腹痛の原因となったり、子宮内癒着の原因となり今後の不妊の原因となることがあるためです。)
  3. 手術の説明を行い、同意書をお渡しします。
  4. 術前検査の採血を行います(血液型、血算)。
  5. 手術日を予約します。

注意:以下の場合は他院紹介となることがあります。

持病やアレルギーの既往、巨大筋腫や帝王切開創部妊娠などが疑われる場合、血液型がRh陰性、妊娠週数が10週以上などハイリスクと考えられる場合。

手術当日

  1. 水分は少量摂取可ですが、朝食は食べずに来院してください。常用薬は内服して下さい。
  2. 出産経験のない方および妊娠8週以上の方は子宮頚管拡張処置を行います。処置後は2時間程度、院内で待機していただきます。
  3. 手術は静脈麻酔を使用し、眠った状態で行います。MVA(手動真空吸引法)を使用し、超音波で見ながら行います。麻酔で眠っている時間は10~15分程度です。
  4. 術後、麻酔がしっかり醒めるまで1~2時間個室で安静にしていただきます。(付き添いは1人まで可能です)
  5. 帰宅前に内診で出血の具合を確認します。
  6. 術後にお薬の処方があります。

注意1. 手術合併症について

詳しくは術前に説明しますが、絨毛遺残、子宮穿孔、子宮頚管損傷、子宮内癒着、感染、アナフィラキシーショックなどが報告されています。

注意2. 当日の注意

麻酔の影響が出る場合がありますので、自転車や自動車の運転はお控え下さい。
お子様の同伴はご遠慮下さい。

術後の生活について

食事は通常通り、術後診察まではシャワーのみでお願いします。
翌日以降は無理のないように生活していただき、できれば2~3日は安静にしましょう。診察を受けるまで性行為は控えて下さい。
38度以上の発熱、月経痛を超えるような痛みや多量の出血、帯下の臭いが気になる時は早めに来院して下さい。
次の月経は手術後30~40日ぐらいで始まるのが普通です。月経が来る前に妊娠することもあります。

術後1週間健診

診察、超音波検査を行います。組織検査結果がまだの場合は後日あらためて来院が必要です。